こちらの記事では音の残響時間について解説しています。
音の残響時間とは
残響時間は明確に定義されています。はじめに音の残響時間の定義について紹介します。
定常状態の音が60[dB]に減衰するまでの時間
(エネルギーが100万分の1になるまでの時間)
上の定義にある通り、残響時間とは音が60[dB]になるまでの時間のことを指します。
レベルレコーダー(音圧レベルの時間変動を記録する装置)で60[dB]の音圧レベルの減衰が記録できない場合は、30[dB]の減衰に要する時間を求め、得られた結果を2倍したものを残響時間とします。
音の残響時間の計算式
次に音の残響時間の計算式についてです。残響時間の計算式は、主に3つ挙げられます。
- セービンの式:吸音力の小さい残響時間の長い室の場合
- アイリングの式:室内平均吸音率が大きい場合
- ヌートセンの式:空気による吸音が無視できない場合
上で挙げた3つの式は、残響時間を計算する条件によって使い分ける必要があります。
セービンの式
セービンの式は、残響時間の計算式の中でも吸音力の小さい残響時間の長い室の計算に適した式です。
T = 0.161V / αS
(T:残響時間[s]、V:室容積[m3]、α:室内平均吸音率[ – ]、S:室内総表面積[m2])
セービンの式は欠点があり、完全吸音(α = 1)でも残響時間(T)が0にならないという矛盾があります。この欠点を解決したのが次のアイリングの式です。
アイリングの式
アイリングの式は、室内平均吸音率が大きい場合に適する式です。
T = 0.161V / -Sloge( 1 – α )
(T:残響時間[s]、V:室容積[m3]、S:室内総表面積[m2]、α:室内平均吸音率[ – ])
ヌートセンの式
ヌートセンの式は空気による吸音が無視できない場合に適する式です。
T = 0.161V / -Sloge( 1 – α ) + 4mV
(T:残響時間[s]、V:室容積[m3]、S:室内総表面積[m2]、α:室内平均吸音率[ – ]、m:単位長さあたりの空気の吸音による音の減衰係数[m-1])
ヌートセンの式は大容量の室、吸音力の小さい室に適用します。
空気の吸収による音の減衰
上で紹介したヌートセンの式にm(単位長さあたりの空気の吸音による音の減衰係数)がでてきました。空気の吸収による音の減衰については、下のグラフを参照にしてください。
まとめ
こちらの記事では、音の残響時間の定義と残響時間の計算式3つを紹介しました。音響計画等を錬る際にぜひご活用ください。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとございました。