この記事では全天空照度と昼光率について焦点を当ててまとめていきます。昼光率は全天空照度と密接に関係していますので、昼光率を理解するためには全天空照度についての理解が欠かせません。是非この記事を読んでマスターしてください。

 

全天空照度とは?

全天空照度について説明するには、まず照度についての知識が欠かせません。最初に照度の定義から紹介します。

 

照度の定義

環境工学において、照度とは光を受ける面への入射光束の面積密度のことです。数式として定義をを紹介すると、以下のようなものになります。

昼光率の定義

照度E = dF / dS [lx]

(F:光束[lm], S:受光面面積[m²])

光束の単位を[lm]( lumen:ルーメン)、面積は[m²]として照度を計算すると、単位は[lm/m²]となりますが、これを[lx](lux:ルックス)といいます。

 

定義だけでは若干わかりにくいところがありますので、図で説明しましょう。

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上の図のように微小面積に入射する光束量が照度の定義です。照度が高いということは、それだけ微小面積に入り込む光束の量が多いということですので、それだけ多く光を受けている面ということになります。

照度は建築の光環境計画において最も一般的に用いられる指標でもあるので、この定義は確実に覚えておきましょう。光束については、以前まとめた記事がありますから、気になる方はそちらをご覧ください。

光束の求め方と定義・公式 可視域と波長の関係(視感度曲線)について



 

全天空照度とは?

照度の説明が終わったところで、次に全天空照度について解説をしていきます。下の図をご覧ください。

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上の図のように受光点(光を受ける点, 調べたいある点)があり、建物の屋根は取っ払ってないものとして考えます。この時、名も遮蔽物がありませんから、受光点は天空の全ての方向から光が集まってくる計算になります。この時の照度のことを全天空照度といい、英語ではEsと表します。

気候や時刻などで大きく左右されるものなので、設計時には設計用全天空照度というものを用いて計算をします。

 

設計用全天空照度について

設計時に使用する天空の照度は設計用全天空照度と呼ばれますが、こちらを太陽から降り注ぐ光として設計時に使います。設計用全天空照度は気候によって異なった値を取りますが、覚えてしまったほうが試験などでは早いため、下の表は暗記してしまいましょう。

条件 全天空照度[lx]
・特に明るい日(薄雲, 雲の多い晴天) 50,000
・明るい日

・普通の日

・暗い日

30,000

15,000

5,000

・非常に暗い日(雷雲, 降雪中) 2,000
・快晴の晴天 10,000

出典:松浦邦男, 建築証明 p.61 表3.6, 共立出版



 

昼光率とは?

次に昼光率の基本的な概念から紹介していきましょう。

昼光率とは、室内のある点において天空から降り注ぐ太陽の光が、どれだけ到達するかの割合のことです。

 

昼の太陽の光は天候や時刻によって大きく左右されます。よって特定の条件下で求めた照度値で、ある部屋のある地点の光の明るさにの指標とすることは極めて困難です。このため、受照度(調べたいある点が天空から受ける照度)と天空照度の人とって明るさの指標としたものが昼光率であり、英語でDと表します。

昼光率の定義

昼光率D = 受照点の照度E / 全天空照度Es × 100 [%]

全天空照度Esの”s”はSkyのsです。昼光率では太陽の直接光が考慮されていないため、近年は昼光率を設計の中に組み込むことは少なくなっています。しかし試験などではまだ出題されることがあるため、是非定義とともに理解しましょう。

昼光率については、文章だけではわかりにくいところがあるため、図を用いながら説明をしていきます。

 

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例えば上の図のように、室内のある点の昼光率を調べたいとします。全天空照度がEs、受光点まで到達する天空照度がEの場合です。

昼光率はE/Esで計算できますので、今回の求めたい昼光率DはE/Es×100[%]となります。E/Esに100をかけますので、パーセントが単位となります。

 

まとめ

今回は照度と全天空照度、それから昼光率について説明しました。

照度Eとは微小受光面へ入射する光束量のことでした。単位は[lx]です。

また、全天空照度Esとは、遮蔽物が何もないと仮定したときのある点への天空から降り注ぐ照度のことです。全天空照度は設計用全天空照度を利用して計算するのが一般的です。

最後に昼光率Dですが、こちらは『ある点への天空からの到達照度E/全天空照度Es』で計算できるのでした。

 

この記事で紹介した内容は、上から順番に読んでいくと理解がしやすい構成となっておりますので、是非何度か読んでマスターしていってくださいね。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。