こちらの記事では音・音波・音場それぞれがどんなものなのかと、それらの違いについて解説をしています。

音とは?定義について

音とは、物体が前後に急速に動くことによって物体を取り巻く媒質に波が発生し、その波が人間の耳によって感知され脳に伝えられることによって、外界の現象として認知されるものです。
特に、媒質の振動としての波は物理現象としての音(=音波)、耳によって感知されてからは生理現象・心理現象としての音と区別されます。

物理現象としての音

ボイルの法則で有名なロバート・ボイルは、1660年に真空中にあるベルの音が聴こえないことを発見しました。このことから、音が伝わるには媒質が必要であることが明らかになりました。同時に、宇宙空間のような真空中では無音であることがわかりました。

また、音が伝わるために必要な媒質も、慣性と弾性の両方の性質を持っていなければなりません。よって、我々人間のような動物が音を認知する上で重要なのは、我々を取り巻く空気という媒質です。

空気のもつ媒質としての性質

空気は慣性をもちます。慣性とは、「質量を有する物体は、外力が働かない限り初期の運動を続ける」という性質です。空気も質量をもちますので、ニュートンの運動の法則(F = m × a)が適用されます。

また、空気は弾性の性質も有します。弾性とは、体質変化に対し抵抗する性質です。しばしばヤング率として計測されます。

  1. 慣性
  2. 弾性

慣性は運動を続けようとする現象であるのに対し、弾性はそれに反対に作用するような現象です。この2つの性質によって、媒質としての空気は波は伝える性質を有します。

媒質の慣性と弾性は、密度と圧力が重要な影響因子となります。ほどんどのあらゆる物質(水、鉄、木など)が、このような慣性・弾性の性質をもっています。

音波とは?定義について

音波とは、一般に物質の一部に何らかの力が生じることによって物質内に振動が生じ、物質内部を伝わる波動のことを指します。そして、空気中を伝播する音波は縦波です。

音波の伝播を考慮する際は、空間と時間の双方を勘案しなければなりません。なぜなら、空間を考慮しなければ音が届くかどうか(音波の距離減衰)が、時間を考慮しなければ音が響くか否か(残響時間など)が勘案されないためです。

 

縦波について

空気中では体積変化に対して弾性力が生じます。これによって波動が発生します。空気粒子が波の伝播方向と同じ方向へ往復振動するので、このような波を縦波(疎密波)と呼びます。

longitudinal_wave1

縦波は波の伝達方向に分子(粒子)が振動します。

横波について

音は横波ではありませんが、補足として横波を紹介します。横波は進行方向に対して垂直に分子が振動する波です。

transverse_wave

例としては、水面に小石を投げ込んだ時に観測される波が横波です。

音波の伝わる速さ(音速)について

音波の伝わる速さ(音速)cは、一般的に下の式で表されます。

音波の伝わる速さ(音速)の公式

c = 331.5 + 0.6t

(c : 音波の伝わる速さ[m/s], t : 温度[℃])

常温15[℃]の環境では、音速cは約340[m/s]です。

音場とは

音場とは音波の存在する空間のことを指します。磁気力がおよぶ空間のことを磁場というのと同様です。

音・音波・音場の違いについて

音と音波、音場について解説したところで、これらの違いについてです。

音は人間が感知した現象のことを指します。つまり、空気の振動(波)が人間に認知された結果のことを「音」と呼んでいるのです。
それに対し、音波は波そのものを指します。よって、人間に音が認知される原因が「音波」です。
そして、音場は音波の生じている空間そのものを指します。

これが音と音波、音場の違いです。

 

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。