この記事では自然換気の方法である風力換気と温度差換気が同時に起こる場合について解説をしていきます。風力換気とは、建物の外の吹く風を利用して換気をする方法です。風力換気単体については下の記事にて紹介をしていますので、まだ風力寒気が何かわからない場合をそちらを参照すると今回の記事も深まるでしょう。
風力換気と換気量の計算方法!風圧係数と相当開口面積・総合実行面積について
また、温度差換気については下の記事で紹介をしています。ぜひご活用ください。
それでは早速、風力換気と温度差換気による換気量の計算方法について解説していきます。
風力換気と温度差換気について
はじめに風力換気と温度差換気について軽くおさらいしておきましょう。
風力換気とは?
はじめに風力換気からです。風力換気とは、風力を利用して換気をする方法です。風は自然の力であるので、自然換気に分類されます。例えば、下の図のように風が吹いていたとします。
上の図のように風が吹くことで建物に風圧がかかっていたとします。ここで建物左面と右面にある開口を解放したとき、そこに風が流れるのは想像がしやすいのではないでしょうか。この場合、単位時間あたりの換気量は下の式で計算されます。
Qw = αA√(c1 – c2) × v × 60²
(Qw:換気量[m³/h]、αA:実効面積[m²]、c:風圧係数、v:風速[m/s])
風圧係数や実効面積については、風力換気を解説している記事に詳しく記載してありますので、そちらをご覧ください。
風力換気と換気量の計算方法!風圧係数と相当開口面積・総合実行面積について
温度差換気とは?
次に温度差換気について軽く説明をします。温度差換気とは室内外の温度差によって生じる圧力差を利用して換気をする方法です。室内と室外の温度差を利用しますので、こちらも風力換気と同様に自然換気の一つです。
温度差換気による換気量Qは下の式で算出されます。
Qt = αA√{2gh(θi – θo)/Ti} × 60²
(Qt:温度差換気による換気量[m³/h]、aA:実行面積[m²]、g:重力加速度[m/s²]、h:開口高さ[m]、θi:室内空気温度[℃]、θo:外気温度[℃]、Ti:室内絶対温度[K])
温度差換気について詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
では風力換気と温度差換気についておさらいをしたところで、風力換気と温度差換気が同時に起こる場合の換気量計算について解説をしていきましょう。
風力換気と温度差換気が同時に起こる場合の換気量について
通常、風力換気と温度差換気は同時に起こります。風力換気と温度差換気はどちらも開口を開けた時に起きるものですが、これら片方だけが起こる状況とはなかなかないものです。風は吹くが室内外の温度差が存在しないことと、風が全く吹かないが室内外の温度差は存在することは、なかなかない状況であることは想像しやすいでしょう。
よって風力換気と温度差換気は同時に起こると覚えても良いくらいです。そして、それらが同時に起こると換気量はどのように変化するのかについてここでは説明をしていきます。
まずはじめに風力換気と温度差換気が同時に起こる場合の換気量の計算式を紹介してしまいしょう。
Qw+t = αA√{2/ρ0 × (Δpw + Δpt)} × 60²
(Qw+t:風力・温度差換気が同時に起こる場合の換気量[m³/h]、αA:実効面積[m²]、ρo:外気密度[kg/m³]、Δpw:風力によって生じる圧力差[Pa]、Δpt:温度差によって生じる圧力差[Pa])
風力換気と温度差換気が同時に起こる場合、換気量はそれぞれによって生じる換気量の和を取れば良いのではありません。例えば、下の図をご覧ください。
上の図のように風力換気による圧力の向きと、温度差換気による圧力の向きになる場合は、2つは打ち消すように働きます。2つの換気量の絶対値が同じで向きが逆の場合、2つによる換気量の和は0になります。この事実により、公式は上の公式の通りになります。
まとめ
今回の記事では風力換気と温度差換気が同時に生じる場合の換気量の計算式について紹介しました。単純に風力換気による換気量と温度差換気による換気量の和を取ればよいのではないことを理解しておきましょう。2つによって生じる圧力の向きに気をつけて計算をしてくださいね。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。