この記事では自然換気の一つである温度差換気についてまとめています。

自然換気とは、自然の力を使って換気をする方法です。他には設備を用いた機械換気がありますが、この記事では自然換気の温度差換気について紹介します。自然換気の他の手法として、風力換気がありますが、風力換気について知りたい方は、下の記事をご覧ください。

風力換気と換気量の計算方法!風圧係数と相当開口面積・総合実行面積について

 

では本題の温度差歓喜の解説に入っていきましょう。

 

温度差換気の圧力差の公式について

温度差換気とは、室内外の温度差によって生じる圧力差を利用して換気をしたものです。温度差換気の公式はどのように導出されるかを見ていきましょう。

 

室内外の温度差と空気の密度の関係

建物の内外に温度差があると、空気の密度の差が生じます。これによって浮力の圧力差がしょうじ、換気が行われます。夏場の冷えた室内の窓を開けると、熱い空気が室内に流れ込む経験をしたことがあるのではないでしょうか。

乾いた空気の密度ρは、気温をθ[℃]として下の式で計算をすることができます。

乾き空気の密度ρの計算式

ρ = 353.15 / T = 353.15 / (θ + 273.15)

(ρ:乾き空気の密度[kg/m³]、T:絶対温度[K]、θ:セルシウス温度[℃])

通常、外気の密度は”ρo“、室内の温度は”ρi“と表します。これらの小文字は、”outside”と”inside”の頭文字から来ていきます。



 

空気の密度差と圧力差の関係

今、上の図において外気の密度をρo、室内空気の密度をρiをし、室内床面高さでの大気基準圧をpi0をします。室内の任意の高さhの大気基準圧をpiとすると、piは以下のように算出されます。

pi = (pi0 – gρih) – (-gρoh) = pio + g(ρo – ρi)h…(1)

 

image

上の図のように、室内外の圧力差が0となり位置がありますが、この高さを中性帯と言います。そして、この中性帯では、pi=0となるため、この高さをhnをすると、

pi0 = -g(ρ0 – ρi)hn…(2)

となります。(2)式に先ほどの(1)式に代入すると、

pi = g(ρ0 – ρi)(h – hn)

と任意の場所hでの室内圧力の式が導出されます。

 

次に室内外での圧力差を計算したいときは、上で紹介した(2)式を用います。これを温度差換気で使う公式としましょう。

室内外の温度差による圧力差の公式

Δpt = -g(ρ0 – ρi)hn

(Δpt:室内外の圧力差[Pa]、g:重力加速度[m/s²]、ρo:外気の密度[kg/m³]、ρi:室内空気の密度[kg/m³]、hn:中性帯の位置[m])



 

温度差換気の換気量の公式について

次に温度差換気によってどれだけの換気量を得られるかについて紹介しましょう。

換気量の式の導出は少々手間がかかってしまいますので、ここでは導出は割愛し、公式だけ紹介して終わりにしましょう。

温度差換気による換気量の公式

Qt = αA√{2gh(θi – θo)/Ti} × 60²

(Qt:温度差換気による換気量[m³/h]、aA:実行面積[m²]、g:重力加速度[m/s²]、h:開口高さ[m]、θi:室内空気温度[℃]、θo:外気温度[℃]、Ti:室内絶対温度[K])

換気量を一時間当たりとして計算をするために、最後に60²をかけています。この式を使うことによって、温度差換気でどれだけの換気量を得られるかを算出することができます。

 

まとめ

この記事では温度差換気について紹介しました。自然換気の方法である温度差換気と風力換気はセットで覚えておくと問題を解く際や設計を行う際に手が進みますので、これらは合わせて覚えておきましょう。

自然換気では少々計算量があり、公式も多いのですが、慣れてくるとスラッと解けるようになってきますので、何度か復習をして理解を深めてください。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。