この記事では必要換気量についてまとめています。必要換気量とは、室内で発生するガス(二酸化炭素など)の室内空気の汚染指標を換気するのに必要な量のことです。近年、シックハウス症候群や、結露やダニなどのような住宅の高断熱高気密化による問題が増してきていることもあり、それに伴って室内の喚起の重要性も増してきています。この記事では必要換気量の計算方法について解説をしていきます。

 

必要換気量とは?概念を紹介

人体は一種の熱機関と考えることができます。体内で栄養分と酸素O2が化合し、燃焼して活動をするためのエネルギーを得ています。空気中に適切なO2濃度が保たれていないと、人体は正しく活動をすることができません。

また、二酸化炭素CO2は室内空気の汚染指標としてその重要性を考慮すべきガスです。二酸化炭素許容濃度については、長期滞在用濃度でおおよそ0.07%(700ppm)、短期滞在用濃度でおおよそ0.1%(100ppm)ほどです。

室内空気は必ず換気をする必要があります。気密な空間ではなおさらです。必要換気量とは、その部屋の機能や用途によって変わるものですが、今回は一般的な必要換気量の計算の仕方をまとめています。下ではその換気量の計算式について紹介しています。



 

必要換気量(二酸化炭素など・熱・水蒸気発生時)の計算式について

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上の図のように室内でガスが発生するときなどは、室内空気の換気が必要です。下ではその必要な換気量はどのように算出されるかを公式としてまとめました。

 

有害ガス(二酸化炭素など)や粉塵などの発生する場所では、必要換気量Qは下の式で計算されます。

必要換気量Qの計算式(ザイデルの式)

Q = k / (pi – po)

(Q:必要換気量[m³/h]、k:ガス発生量、pi:室内許容濃度[ppm]、po:外気中の濃度[ppm])

 

また、発生するのもが熱の場合は下の式にて換気量を求めることができます。

必要換気量Qの計算式(熱発生の場合)

Q = 3.6Hs / (cpρΔθ)

(Q:必要換気量[m³/h]、Hs:発生量[W](=3.6Hs[kJ/h])、cp:空気の比熱=1.0[kJ/kg・K]、ρ:密度=1.2[kg/m³]、Δθ:室内外温度差(許容温度上昇値)[℃])

 

最後に水蒸気が発生する場合の換気量の計算式です。

必要換気量Qの計算式(水蒸気発生の場合)

Q = W/ρΔx

(Q:必要換気量[m³/h]、ρ:密度=1.2[kg/m³]、Δx:室内外絶対温度差(kg/kg’))

 

必要換気量の目安を表にまとめると以下のようになります。

場所・用途例 必要換気量
居間・寝室 18[m³/h・人] ~ 30[m³/h・人]
台所 調理時 300[m³/h・人] ~ 400[m³/h・人]
使用後 60[m³/h・人] ~ 100[m³/h・人]
浴室 入浴時 20[m³/h・人] ~ 50[m³/h・人]
入浴後 90[m³/h・人] ~ 100[m³/h・人]
便所 20[m³/h・人] ~ 50[m³/h・人]
洗面所 常時 20[m³/h・人] ~ 40[m³/h・人]
乾燥機・洗髪 60[m³/h・人] ~ 90[m³/h・人]

表出典:(財)住宅・建築省エネルギー機構:住宅の次世代省エネルギー技術基準の策定検討調査報告書1996年2月

上の表を参考にしながら、設計時や問題を解く際に活用してください。

 

まとめ

この記事では二酸化炭素などのガス発生時や、熱・水蒸気発生時の換気量の計算式についてまとめました。問題で与えられている発生物や設計時に今回の記事を役立ててくださいね。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。