この記事では地方真太陽時・地方平均太陽時・日本中央標準時についてまとめています。日本では主に日本中央標準時で時刻を考えていますが、時刻は他にも考え方があります。時刻は地球の経度によって変わるものです。そして同じ日本でも、北海道と沖縄の経度は異なります。そのため地方によって若干の時差が存在します。この記事では地方での時刻などを計算できる公式を解説していきましょう。
記事の目次
時刻体系の種類について
時刻体系は大きく分けて3つあります。その3つは以下の通りです。
- 地方真太陽時
- 地方平均太陽時
- (日本)中央標準時
ここではそれぞれの考え方を1つ1つ説明していきます。
地方真太陽時とは?
地球上のある地点では、太陽が南中した時から次に南中するまでを1日としています。そして、その長さを24等分、さらに60等分、60等分して、時・分・秒を決める体系としています。この考え方を真太陽時、あるい視太陽時と呼びます。真太陽時は太陽中心に時刻を形成しています。
地方真太陽時とは、とある地方での南中してから南中するまでを1日として時刻体系です。地球の公転軌道は完全な円軌道ではなく、楕円軌道であるため、南中時から次の南中時までの1日の長さは季節によって異なってしまい、一定ではありません。よって地方真太陽時は1日の長さが一定ではありません。
地方平均太陽時とは?
次に地方平均太陽時についてです。地方平均太陽時とは、地球上のとある地点において地方真太陽時での1日が一定でないことが不便であることから、1日の長さを年平均(24時間)とし、この時間の長さで日周運動をする仮想太陽(平均太陽)を想定した時刻体系になります。よって1日の長さはいつでも一定(24時間)となります。
(日本)中央標準時とは?
最後に日本中央標準時についてです。こちらが普段私たちが使っている時刻体系です。地方平均太陽時は地方によって異なった時刻になります。北海道と沖縄では大きく経度が異なっているため、時差も大きくなってしまいます。よって国ごとに代表した地方標準時、すなわち日本でいう兵庫県明石市のある東経135[°]を中央標準時と定め、それに日本の時刻を適応しています。
地方真太陽時・地方平均太陽時が地球上の任意の地点を中心とした時刻体系であったのに対し、中央標準時とは国ごとに定められた経度の時刻をその国の中心の時刻体系となっています。
地方真太陽時と地方平均太陽時の関係(変換計算公式)について
次に地方真太陽時と地方平均太陽時の関係について解説をします。地方真太陽時は太陽が南中して次に南中するまでを1日と定めた時刻体系でした。地方平均太陽時は地球が1周公転するのを1年とし、それを365で割ったものを1日を定めた時刻体系でした。
この2つは同じ地点において、年に4回時刻が一致しますがその他に日にちでは時刻にズレ(時差)が生じています。これを均時差eといいます。均時差は以下の表の通りの値になります。
均時差e | ||
1日 | 15日 | |
1月 | -3[m]11.7[s] | -9[m]7.7[s] |
2月 | -13[m]28.5[s] | -14[m]9.7[s] |
3月 | -12[m]30.6[s] | -9[m]9.7[s] |
4月 | -4[m]7.8[s] | -0[m]14.5[s] |
5月 | +2[m]48.2[s] | +3[m]40.4[s] |
6月 | +2[m]18.4[s] | -0[m]17.6[s] |
7月 | -3[m]41.6[s] | -5[m]53.3[s] |
8月 | -6[m]22.7[s] | -4[m]38.8[s] |
9月 | -0[m]15.5[s] | +4[m]29.6[s] |
10月 | +10[m]46.6[s] | +14[m]1.9[s] |
11月 | +16[m]23.9[s] | +15[m]32.5[s] |
12月 | +11[m]17.6[s] | +5[m]15.8[s] |
そして、地方真太陽時と地方平均太陽時との関係は下の公式にて計算されます。
th = tm + e
(th:地方真太陽時[時:分]、tm:地方平均太陽時[時:分]、e:均時差[時:分])
地方真太陽時は、地方平均太陽時に均時差を足したものです。均時差に関しては、上で紹介した表を参考にしながら計算してください。
地方平均太陽時と(日本)中央標準時の関係(変換計算公式)について
次に地方平均太陽時と中央標準時の関係についてです。中央標準時は求めたい地点の経度によるため、経度が計算式に入ります。下の変換計算公式をご覧ください。
tm = Tm[時] + {(L -135[°])×4}[分]
(tm:地方平均太陽時[時:分]、Tm:中央標準時[時:分]、L:経度(東経)[°])
例えば日本の中央標準時で計算をするときは、Lに日本の本初子午線のある明石市の経度である135[°]を代入し、計算をします。
まとめ
今回は3の時刻体系、
- 地方真太陽時
- 地方平均太陽時
- (日本)中央標準時
のそれぞれの考え方と、地方真太陽時と地方平均太陽時の関係、地方平均太陽時と(日本)中央標準時の関係について紹介しました。普段私たちが使っている時刻がどのように計算されているかが理解できたのではないでしょうか。ぜひこの記事を活用しながら、時刻に関しての理解を深めていただければ幸いです。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
丁寧な記事ありがとうございます。参考にさせていただいています。地方標準時の計算式の「4」の単位を [分/°]と書いていただけると分かりやすかったです。
はしもとさん
コメントありがとうございます。
記事内の公式部分をよりわかりやすく訂正しました。
建築環境工学について他に書いてほしい記事などがありましたら、コメントにてお申し付けください。
『建築学科のための環境工学』サイト運営者より
太陽時の「均時差」が生じる理由が知りたく、こちらを拝見しました。
大変参考になりました。
均時差の表について、記載の数値をグラフ化してみたところ、12月15日の-5[m]15.8[s]だけが、連続的な変化から外れているように感じたのですが、ここでは何が影響しているのでしょうか。もしかして、マイナスではなくプラス5なのでは?とも思ったのですがマイナス5が正しいのでしょうか。可能であれば教えていただきたいです。
satoさん
コメントありがとうございます。
>>均時差の表について、記載の数値をグラフ化してみたところ、12月15日の-5[m]15.8[s]だけが、連続的な変化から外れているように感じたのですが、ここでは何が影響しているのでしょうか。もしかして、マイナスではなくプラス5なのでは?とも思ったのですがマイナス5が正しいのでしょうか。可能であれば教えていただきたいです。
ご指摘いただいた通り、記事に誤りがありました。12月15日の均時差は正しくは、+5[m]15.8[s]です。誤表記をしてしまっていたことを、ここにお詫び申し上げます。
返信いただきありがとうございました。
今後もこちらで勉強させていただきます。